受験とはいいものです。誰も助けてくれることがないからです。
自分がたった一人で戦わなければならないからです。
こんなことは今までになかったことではありませんか。
いつも、困ったときには両親が助けてくれていたのに、
今回ばかりは、誰も頼るものがありません。
だから、心配でたまらなくなるのです。
そんな一人で耐えている人たちに、私は思わず「頑張れ、負けるな。最後まで続けろよ」と
エールを送りたくなります。
頑張っている人の姿は美しく、崇高です。
何年か前のことです。今まであまり勉強しなかった生徒が勉強を始め、
何ヶ月かした頃のことです。その子が急に綺麗になって、
周囲の人が「どうしたの」と驚いたことがありました。
人間は何かの目的を持って、それに向かって必死に努力しているとき、
その人の目は美しく輝くのです。
男も、女の子も夢に向かって走っている時――その人の目は、
化粧などでは作り出せない荘厳さと、引き締まった緊張感を持つものです。
その美しさは、はっきりその人の容貌を完全なまでに変えてしまいます。
そして、さらに不思議なことに、
人間として成長しなければ受験に合格することなどありえないのです。
だから――今、じっと我慢しているあなたは立派な人間に近づいています。
これはすばらしいことではありませんか。
勉強を苦しいなどと考えずに、チャンスだと考えてください。
このチャンスを活かして楽しむことの方がずっと大切なのです。