素敵な先生に気に入られたくて…
随分、前に書いたことがありますが、
あるお年寄りの女性が「私が、一番勉強したのは、
ある先生がとっても魅力的で、その先生に
ほめられたいから、勉強した時でしたね」と言うのを
聞いたことがあります。
この言葉を聞いて、私は
「これこそ、本気で勉強したという生の声だ」という
気がしました。
おそらく、お母さん方の中にも、このような経験を
お持ちの方は多いのではないかと思います。
先生が素敵で、その先生の関心を買いたいと
勉強するというのは、もっともあり得る動機です。
私も、高校生の時、英語の先生でたった一人
若い女性の先生がいました。その先生はとても美しく、
生徒の中では一番の人気でした。
残念ながら、その先生の担当は３年生で、私たち
１年生は、授業を聴くチャンスがありません。
そこで、ある友人のひとりが、「補修授業のときなら、
３年生の授業に行ってもいいんじゃないか」と言い始め、
「面白そうだから、授業を受けに行こう」ということになり、
早速、授業に参加したのです。
そのころは、今とは違って、もっと気楽だったのでしょうね。
私たちが３年生の授業に参加しても、あまり違和感はなく・・・
またその美人の先生も私たち珍入者に対しても、
あまり異質だとも感じなったのでしょう。
簡単に私たちを受け入れてくれて、
「さ、まず新しい人に当てましょう」と言って、いきなり
３人のうちの一人に当てました。
当てられたらたまりません。
何と言っても、３年生の授業ですから、１年生にわかるはずが
ありません。
あてられた友だちは、立ち上がったまま、顔を真っ赤にして、
「あの・・・う、う・・・」と頭をかいています。
これは大変だと私も思ってはらはらしていたら、すぐに私にも
当たりました。
もちろん、わかりませんから、「う、う、う、・・・あう、あう・・・」と
口から泡がでそうです。
折角、美人の先生の顔を見に来たのに、そんな余裕など、
どこに行ったのやら！
下を向いている私の目に飛び込んできたのは、周囲の３年生の、
苦笑です。
そのときから、３人とも、２度と３年生の授業に行こうなどと
言わなくなりました。
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