ストーリーテラー ―聞き手と話し手の共同作業―
大学入試問題の長文には、楽しい話がいくつもありますね。
この前、やった東大の長文の中にも、
すばらしい話がありました。
それは、ストーリーテラーになった人の話でした。
この話は、私が長文の教材の中で、もっとも好きな話で、
この話だけは絶対に割愛できないと思い、
やや古い問題でしたが、あえて採り上げたものでした。
その話は・・・ある演劇の団体を率いていた人が、
幕間に観客が帰ってしまうのを恐れて、急遽、話をする
といった内容でした。
彼らは、たしか、ニューヨークのセントラルパークの
野外劇場で劇をしていたのです。
幕間の舞台装置の入れ替えに、ちょっと時間がかかるので、
せっかく集まってくれている観客が散逸してしまわないように
話をしたのでした。
ただ・・・とにかく、とっさに始めたのでしたから、
話の内容をはっきり覚えていたわけではく、
ずっと、以前、どこかの図書館の司書が話してくれた話を、
思い出し、思い出しながらの進行でした。
ところが・・・話をしていく間に観客の目が、
だんだんと真剣になって行き、それにつれて、話し手もまた
興奮して行き・・・ついには話し手と聞き手が、一体となり・・・
彼はまるで観客の目の中にストーリが浮かんでくるかのように、
話を思い出しながら、クライマックスに達して行ったのでした。
彼はこの瞬間から、ストーリーテラーになることを決心した
という話でした。
この作者が言っているように、話し手は、聞いている人の目が、
真剣になっていくほど、話に夢中になって行きます。
話しは、語り手が一人でするのではなく、聞いている側の人と、
話し手との共同の作業なのです。
もし、聞いている人が、必死になって聞いているならば・・・
それが、話し手を後押しして、すばらしい話を作り上げて行くのです。
リトルアメリカ教育センター
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