ストーリーテラー ―聞き手と話し手の共同作業―

リトルアメリカ

2014年06月21日 11:01

 大学入試問題の長文には、楽しい話がいくつもありますね。

 この前、やった東大の長文の中にも、

すばらしい話がありました。

 それは、ストーリーテラーになった人の話でした。


 この話は、私が長文の教材の中で、もっとも好きな話で、

この話だけは絶対に割愛できないと思い、

やや古い問題でしたが、あえて採り上げたものでした。


 その話は・・・ある演劇の団体を率いていた人が、

幕間に観客が帰ってしまうのを恐れて、急遽、話をする

といった内容でした。


 彼らは、たしか、ニューヨークのセントラルパークの

野外劇場で劇をしていたのです。

 幕間の舞台装置の入れ替えに、ちょっと時間がかかるので、

せっかく集まってくれている観客が散逸してしまわないように

話をしたのでした。

 ただ・・・とにかく、とっさに始めたのでしたから、

話の内容をはっきり覚えていたわけではく、

ずっと、以前、どこかの図書館の司書が話してくれた話を、

思い出し、思い出しながらの進行でした。


 ところが・・・話をしていく間に観客の目が、

だんだんと真剣になって行き、それにつれて、話し手もまた

興奮して行き・・・ついには話し手と聞き手が、一体となり・・・

彼はまるで観客の目の中にストーリが浮かんでくるかのように、

話を思い出しながら、クライマックスに達して行ったのでした。

 彼はこの瞬間から、ストーリーテラーになることを決心した

という話でした。


 この作者が言っているように、話し手は、聞いている人の目が、

真剣になっていくほど、話に夢中になって行きます。

 話しは、語り手が一人でするのではなく、聞いている側の人と、

話し手との共同の作業
なのです。

 もし、聞いている人が、必死になって聞いているならば・・・

それが、話し手を後押しして、すばらしい話を作り上げて行くのです。










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