私の方が 苦しくて…
話が飛びますが、再度もとに戻しましょう。
ということでお母さんと話し合おうということで、お母さんに
来てもらいました。
「お母さん、彼がようやく勉強を始めたのです。
これってすごいことではありませんか？
あなたのお子さんは立派ですよ。
こんなに勉強するようになったのですから・・・だからここは
学校の宿題をしなさい、などと言って彼のやる気をそがない方が
いいのではないでしょうか」
そう言うとお母さんは急に涙をこぼし始めて、
「あの子は高校受験のときに失敗したのですよ。
そのときそばにいて、どう慰めていいのか、あの子より
私の方が、苦しくて、もう２度とあんな目に会いたくないもの
だから…
…あの子にはあんな経験を２度としてもらいたくないから・・・」
と言って溢れる涙を、何度も拭おうとするのです。
彼のお母さんは、おそらく子供から聞いていて・・・高校生に
なって、本当に実力の付く勉強方法とは、必ずしも宿題をすること
ではないということなども、分かっているようでした。
しかし・・・そんな戦いの人生は子供にはふさわしくない、
もっと安全な道があるのではないかと思っているようでした…。
つづく
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