2018年01月13日

金曜日の小説 第一章⑥ さわりたい

  「あの池の端のところだよね」

とブーはささやいた。

 ここで大きな声を出せば、二人に聞こえるというのは

分かっていることだった。

 「しっ、声を出すな」

 ノンはそう言って、ひとまず門の外に出るように手で

合図した。

 全員が門の外に出てくると、ノンは

 「おい、ブー、さっき見たか?男の指が女のお尻に
  食い込んでいたな――」

と、ブーの反応を確かめるかのよう言った。

  「うん、うん、あいつキスしながら、女のお尻を
   ぎゅーと掴んでいたよ」

 女性は白いスカートだったから、その部分が一番

はっきりと見えたのだったし、一番彼らの好奇心の目

には印象深い部分だった。

 「お前、女のお尻触ったことがあるか」

  とまたノンはブーをからかった。

  「あるわけないじゃん」

 「だろう」

とノンはにやーとしながらみんなを見渡した。

 「僕も、もちろん、触ったことなどないけど・・・すごく
  柔らかくて、弾力があるんだってね」

とアッチャンが丸い目をさらにくるくる回しながら、今

見た光景からくる異常な興奮を隠そうとしないで

言った。

 アッチャンは顔が丸い。いや顔だけでなく全体が

まるまるしいのだ。

 「おい、ブーお前あの女の子のお尻触ってこい」

とノンはとんでもないことを言いだした。

  「そんなことできるわけないよ」

 「どうしてだ?あのスケベ―なおっさんの振りをして、
  あの子のお尻をそっと撫でてやるのさ」

  「そんなことしたらすぐに分かってしまうじゃん」

とブーが反発した。

 「バーカ。分かるわけないだろう」

  「どうしてよ」

とブーが言ったとき、横からアッチャンが

   「何でさわるの?」

と聞いた。

 「バーカ、意味などあるか。お前、女のお尻触った
  ことあるんか」とノン。

   「あるわけないよ」

 「だったら、触ってみたいだろう。しかもあの男が
  触っているんだから、分かるわけないぞ」

   「でも、もし触ったら、女の人も、あれ変なとこ
    に指が来たなと分かるんじゃない」

と元来まじめなアッチャンはさも心配そうに聞いた。

 「バカ、お前――あの女の子が、男の指を一本
  一本数えているというんか」

と言うが早いが、ノンはアッチャンのお月様みたいな

まん丸い顔の額の真ん中をパシと叩いた。

 アッチャンの額は満月な顔の上半部をなしていて、

丁度、三日月の形になっていた。

 その三日月額の中心部をピシッとたたいたのだ。

   「何するんだよ」

とアッチャンはやや抵抗しながら、半べそをかいた。

「うるさい。静かにしろ。あまり大きな声を出したら、
 見つかるじゃないか」

と今度はタケシのこぶしがノンの頭に飛んだ。


 「うーん、そ―か・・・よし。触りに行くか?」

とノンは決心したかのようにアッチャンを見つめた。

   「うん、僕さわりたいよ」

とアッチャンは異常な興奮状態で息をハ―ハ―させ

ながら言った。

 すると横にいたブ―も

  「俺も行きたいよ」

と懇願した。

 「タケシ、お前はどうする」

とノンはタケシに聞いた。

金曜日の小説 第一章⑥ さわりたい
金曜日の小説 第一章⑥ さわりたい リトルアメリカ教育センター 中津校地図はこちら 
 https://twitter.com/LittleAmericaON       大分校地図はこちら  






ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村



同じカテゴリー(がんばれ)の記事画像
子どもたちのテンションはどんどん上がっていきます
あの子は家では全然勉強しないらしいのに…
認めることから本当の勉強は始まります
得意になってやっていたことが進まなくなり、なんだか楽しくなくなって…
「今度のテストでは、全科目、平均点以上を目指します!」という人がいますが…
今のことにいっぱいいっぱいで…となる前に…
同じカテゴリー(がんばれ)の記事
 子どもたちのテンションはどんどん上がっていきます (2024-04-18 23:17)
 あの子は家では全然勉強しないらしいのに… (2024-03-26 00:04)
 認めることから本当の勉強は始まります (2024-03-21 23:50)
 得意になってやっていたことが進まなくなり、なんだか楽しくなくなって… (2024-03-14 19:57)
 「今度のテストでは、全科目、平均点以上を目指します!」という人がいますが… (2024-03-01 14:01)
 今のことにいっぱいいっぱいで…となる前に… (2024-02-28 00:18)

※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。